モチーフは佐伯がパリのオペラ通りの骨董店の奥に見つけた革製の人形。サロン・ドートンヌで入選した1925年、27歳の時に描かれたものです。「赤い羽根の飾りのついた帽子をかぶり、一寸横目を使っていて、髪の色は絹糸で、肩や胸の線が生きた人のように見えた」と米子夫人の回想にあるほど思い入れのある作品でした。


街に生きた伝説の洋画家　佐伯祐三

30年という短い生涯にどれほどの名作が遺せるだろう。その鮮烈な生涯――
2023年、生誕125年を記念した、代表作を含む約100余点を一堂に展示する展覧会が東京と大阪で開催※。
日本洋画史上においてこれほど心の中に奥深く突きささる作品はあっただろうか。
ヴラマンクのエネルギーみなぎる強い造形的フォルムと、ユトリロが放つ独特の詩情感、世界的な名匠たちの要素を天性の才能によって融合させ、独自の「純粋さ」という境地を築きあげた佐伯祐三。その「純粋さ」に秘められた鮮烈で憧憬的な生き様は、花の都パリを愛した夭逝の天才画家として、多くの人々を感動させ、大きなエネルギーを今も与え続けています。

※「佐伯祐三　自画像としての風景」
東京ステーションギャラリー　……終了
大阪中之島美術館　2023年4月15日（土）〜6月25日（日）

今回ご案内するのは、短くも鮮烈な生涯を終えた画家、佐伯祐三が情熱のすべてを注いで描いた傑作3作品を、数々の巨匠作品を手掛けたパリのアールリト工房が限定300部で制作した貴重なリトグラフです。エネルギッシュな筆致、郷愁漂う独特の色彩など佐伯芸術の魅力が余すことなく再現され、原画の燃えるような臨場感をご実感いただけます。高級木製額に納めてお届けします。

フランス名門「アールリト工房」にて制作

パリの歴史あるリトグラフ工房の一つで、カルダー、ヴィエラ・ダ・シルヴァ、フランシス・ベーコンなどの偉大な画家たちがそこで成功を収め、工房はステファン・ギルボに受け継がれ世界的に有名な工房として名声を博していました。その技術はフランスのみならず、世界の画家たちを魅了していました。伝統と熟練した高度な技術を持った刷師によってリトグラフの技術と知識を高め代々受け継がれていました。