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仏門に生まれた日本画家、後藤純男が風景に向かう時、そこにはいつも祈りの心が流れていました――後藤純男美術館館長 後藤洋子
本作に描かれた談山神社は奈良県桜井市の多武峰(とうのみね)にあり、桜と紅葉の名所として知られます。藤原鎌足の長男、定慧(じょうえ)和尚が唐より帰国後、亡き父の墓を多武峰に移し、十三重塔を建立したことが発祥です。のちの大宝元年(701年)に神殿が創建され、御神像がまつられました。
談山神社の名は、この地で大化の改新についての話し合いがされたことから「談い山(かたらいやま)」「談所ケ森(だんじょがもり)」と呼ばれたことに由来します。
後藤純男(ごとう・すみお)
1930年千葉県東葛飾郡関宿町(現野田市)の真言宗住職の家に生まれる。46年から山本丘人に師事。49年からは田中青坪に師事。52年再興第37回院展に「風景」が初入選。88年高野山東京別院に襖絵「高野山の四季」を奉納。90年「法隆寺秘宝展」に「百済観音画像」を出品、本尊として会場に安置された。93年奈良・真言宗豊山派総本山長谷寺に襖絵「夏冬山水」を奉納。95年パリ・三越エトワールで個展開催。同年「秋の談山神社 多武峰」制作。99年東京・高幡不動尊金剛寺に襖絵「桂林山水朝暘夕粧」を奉納。2006年春の叙勲で「旭日小綬章」受章。16年「大和の雪」で第72回日本芸術院賞・恩賜賞受章。同年10月逝去。
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