生誕100周年
没後27年の今なお多くのファンが集まり、著書も読まれ続けている遠藤周作。
作家自らが「沈黙」について語った貴重な講演を含むCD集。
CD1:「沈黙」について(1966年、45分):長崎で一枚の踏絵を眼にし、そこに残された黒ずんだ足跡と、摩滅した哀しげなイエスの顔から「沈黙」の着想を得て、それを書き上げるまでの道のりを語る。
CD2、CD3:日本人とキリスト教<その1>(1990年、35分)、<その2>(1990年、44分):遠藤周作の一貫したテーマであった「日本人とキリスト教」の講演。「宗教は思想ではなく、意識下のものと結びついている」という認識のもとに、自身のキリスト教体験(西洋体験)を語る。
CD4:初めて日本が西洋と出会った頃(1992年、50分):織田信長の時代にヨーロッパへ最初に留学した人物を取りあげながら、そこに、戦後初の留学生である自己の人生に重ねあわせて語る。
CD5:心の不思議・命の不思議(「『万華鏡』その後」改題)(1993年、68分):「老年になると人はそれまでと違って魂で世界を感じる」と語り出す声はわずかに掠れているが、耳にしみこんでくる。言葉は熱を帯び「大いなる命の世界」が聴く者の心を打つ。
CD6:<付録>夫・遠藤周作を語る(28分)、遠藤郁聖歌集「ポリドール盤」(13分):順子夫人が語った「素顔の遠藤周作」と、氏の母、遠藤郁女子が若き日に収録した聖歌集。
遠藤周作(えんどう・しゅうさく) 1923(大正12)年東京生まれ。慶応大の恩師佐藤朔から影響を受けカトリック文学に傾倒。50(昭和25)年、戦後初の給費留学生としてフランスに留学。帰国後作家を志し、55(昭和30)年「白い人」で芥川賞を受賞。元日本ペングラフ会長。95(平成7)年文化勲章受賞、翌96(平成8)年没。