多色刷高級美術印刷
重要文化財「序の舞」上村松園筆
「序の舞」について
能楽の中に「序の舞」という、幽玄の世界を具現しようとするものがある。おだやかで静かな舞であるが、松園の狙いもそこにあったのであろう。
松園の作品の殆どが江戸中期の風俗にしているのは、現実の世界の再現ではない事を意味し、或いは、戒めとしたのかも知れぬ。
この作品は島田に結った現世の若い女性にその姿を借りたものであるが、或いは、その舞台から実感し、そのままの思い入れの中、描いたのであろうか。
幽玄の世界は時を超えて存在するとの想いをメッセージとして残したかったのかとも思う。自伝の中でも多くを語っていないのは、まだ描き切れていないとの思いを持っていたのかも知れない。幽玄の世界の深さは、今更いうまでもない。
上村淳之
上村淳之(うえむら・あつし)
1933年上村松篁の子として京都に生まれる。松園を祖母に親子三代続いての画業の道に進む。日本芸術院会員。京都市立芸術大学名誉教授。上村家三代の作品を展示する松伯美術館の館長も務める。2013年文化功労者。
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