新しい日本画の創造
渓谷の水面の渦巻く流れと、三人の蓑笠姿の水夫が担ぐ曳綱(ひきづな)の張り詰めた直線により、川の流れの速さと、描かれていない舟の重さが巧みに表現されています。明治30年代、青年時代の大観は師・岡倉天心の「空気を描く方法はないか」という示唆のもと、空気や光線の表現方法に試行錯誤を重ねました。本作では水辺に立ち込める霞が線を全く用いずに、「空刷毛(からばけ)の技法」(絵絹に湿りを与えて墨や絵具を垂らし、刷毛で広げる無線描法)で描かれています。
当時「朦朧体(もうろうたい)と呼ばれた描法は毀誉褒貶の末、現在では日本画革新の画期的試みとして評価され、本作「曳船」(1901年)も近代絵画史に残る大観の力作として位置づけられております。
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